カントは、平和論を構築する上で「人間の本性は邪悪である」という前提に立つ。理想主義者ととらえられてきたカントのイメージを覆す論だが、もともと人間に備わった悪の傾向性をうまく利用して、法や制度、経済システムを設計していくことが肝要だという。「人間の本性は邪悪である」ことを前提としたカントの平和論が、「自然の傾向性」を生かしながら、どうやってその「悪」を抑止するのかを明らかにしていく。
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