「無常観」を表したことで知られる「方丈記」。実は前半のほとんどを、平安末期に起きた大火、つじ風、遷都、飢きん、大地震の記録に当てている。その描写力は、東日本大震災で多くのメディアが引用するほどリアルなものだ。さらに、災害に対する都会のぜい弱さ、庶民を顧みない政治のあり方、そして人々の記憶の風化現象を指摘するなど、いつの時代でも通用する視点で捉えている。災害記録文学として「方丈記」の魅力をひもとく。
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