その革新性故に誤解が絶えなかった親鸞の思想。異議をとなえる門弟たちに、親鸞は「念仏が浄土に生まれる種なのか地獄へ落ちる所業なのか私は知らない」と冷徹にいい放つ。そこには、自分の都合で教えの意味をゆがめ、自身の中にある「影」の部分を見つめようとしない人々への嘆きがあった。親鸞は、死後に救われるかどうかといった利己的な目的ではなく、己の罪深さを徹底して見つめぬく中にこそ真の信仰が開かれると考えたのだ。
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